Buddyリサーチニュース

超加工食品が体に与える影響——少量でも有害なのか?

栄養学

超加工食品が体に与える影響——少量でも有害なのか?のインフォグラフィック

インスタント麺やスナック菓子、炭酸飲料といった「超加工食品」は、私たちの食卓に当たり前のように並んでいます。しかし2024〜2025年に発表された大規模な研究をまとめると、こうした食品を多く食べる人ほど、死亡リスクが用量に応じて高まることが示されています。具体的には、食事に占める超加工食品の割合が10%増えるごとに、全死亡リスクが10%上昇するという関係が、約118万人・18のコホート研究を集めたメタアナリシス(複数の研究を統合した分析)で確認されました。

では、量を減らせば安心なのでしょうか。そして「少しだけなら問題ない」と言える安全な量はあるのでしょうか。最新の研究をたどっていきます。

そもそも超加工食品とは何でしょうか?

超加工食品(Ultra-Processed Food、UPF)とは、食品添加物・乳化剤・人工フレーバー・保存料などを多く使い、工業的につくられた食品のことです。インスタント麺、菓子パン、炭酸飲料、ファストフード、スナック菓子などが代表例です。

これらは、ブラジルのサンパウロ大学が2009年に提唱した「NOVA分類」という考え方で、加工度合いに応じた4つのグループのうち、最も加工が進んだ「グループ4」に分類されます。グループ4の特徴は、5種類以上の食品添加物を含み、乳化剤・安定剤・人工着色料・人工フレーバーが使われている点です。

日本の調査でも、超加工食品からエネルギーを多く摂る人ほど、食物繊維・ビタミン・ミネラルといった大切な栄養素の摂取量が少なくなる傾向が示されています。

なぜ「死亡リスク」と結びつくのでしょうか?

2025年に発表された、18のコホート研究・118万人以上を対象とする大規模なメタアナリシス(Springer)では、超加工食品の摂取割合が10%増えるごとに全死亡リスクが10%上昇(HR=1.10)することが示されました。さらに、最も多く食べるグループは、最も少ないグループに比べて全死亡リスクが15%高い(HR=1.15)という結果でした。平均14.5年という長い追跡期間で確認された、統計的にもはっきりした関係です。

また、2025年に発表された8カ国を対象とするモデリング研究(AJPM)では、摂取量の多い米国・英国では早期死亡の約14%が超加工食品に起因すると推計されています。摂取量が少ないコロンビアでは4%でした。

心臓や糖尿病、心の健康とも関係があるのでしょうか?

2024年にBMJ(英国医師会雑誌)に掲載されたアンブレラレビュー(数多くの統合分析をさらにまとめた研究、Lane et al. 2024、約1000万人)は、32項目の健康指標との関連を、根拠の確かさで分類しました。

このうち、最も確かさが高い「クラスI(確実な根拠)」とされたものには、次のような関連があります。

  • 心血管疾患による死亡リスクが+50%(RR=1.50)
  • 2型糖尿病が1日1サービング増えるごとに+12%(RR=1.12)
  • 不安障害が+48%、メンタルヘルス疾患全般が+53%

さらに、それに次ぐ「クラスII(強い示唆的根拠)」には、心疾患死亡+66%、肥満+55%、うつ病の発症+22%、睡眠障害+41%といった関連が含まれます。

ただし大切な点として、これらはすべて観察研究にもとづく「関連」です。収入や食生活全体、運動量といった他の要因(交絡因子)を完全に取り除くことはできないため、超加工食品が直接の原因だと断定することはできません。

「食べると過食になる」という実験はあるのでしょうか?

超加工食品の影響を最も厳密に調べた研究として、Hall et al. 2019(Cell Metabolism)があります。体重が安定している成人20人を入院環境に入れ、4週間にわたって超加工食品中心の食事と、加工度の低い食事を入れ替えて比べる試験(クロスオーバーRCT)です。

その結果、超加工食品の食事中は1日あたり508kcal多く摂取し、2週間で体重が+0.9kg増加しました(加工度の低い食事のときは逆に-0.9kg)。興味深いことに、食事の「おいしさ」の評価はどちらも同じでした。過食の原因として示唆されたのは、食べるスピードです。超加工食品では食べる速さが1分あたり17kcal速くなり(超加工48kcal/分 対 非加工31kcal/分)、お腹がいっぱいになったという信号が脳に届く前に食べ過ぎてしまうのです。

ただしこの試験は20人・2週間という小さな規模で、長期的な体への影響や個人差まではわかっていません。

少量でも有害なのでしょうか?

現在の研究は一貫して、食べる量が増えるほどリスクが直線的に高まる「用量反応関係」を示しています。そして「これ以下なら安全」という明確な閾値(ボーダーライン)は、現時点では確立されていません。

一部の研究では、心血管死亡について1日2.4サービング以下では関連が弱いとするデータもあります。ただし全死亡については直線的な関係が確認されています。現時点の証拠に最も合うのは、「ゼロにする必要はないが、少ないほどリスクは低い」という理解です。

━━━ まとめ ━━━

  • 全死亡リスクは、超加工食品の摂取割合が10%増えるごとに10%上昇します(HR=1.10、118万人・18コホートのメタアナリシス、Springer 2025)。
  • NIHのRCT(Hall et al. 2019、20人)では、超加工食品の食事中に1日508kcal過食し、2週間で+0.9kgになりました。食べるスピードが1分あたり17kcal速くなり、満腹の信号が遅れることが原因と示唆されています。
  • 心血管疾患による死亡リスクは最多摂取群で+50%(RR=1.50)、不安障害+48%、2型糖尿病は1サービング増で+12%——いずれも「確実な根拠(クラスI)」とされました(Lane et al. 2024、BMJ)。
  • 「安全な摂取量の閾値」は現時点では確立されていません。全死亡については少ないほどリスクが低いという直線的な関係が一貫して観察されています。
  • 米国・英国では早期死亡の約14%が超加工食品に起因すると推計されました(摂取量の少ないコロンビアでは4%、AJPM 2025、8カ国研究)。
  • ただしこれらの関連はすべて観察研究にもとづくもので、交絡因子を完全に取り除けないため因果関係は未確定です。唯一の長期RCT(Hall 2019)は過食を実証しましたが、20人・2週間と規模が限られています。
参考文献 (8件)
  1. Lane et al. 2024 BMJ — Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review (PMC)
  2. Springer 2025 — All-cause mortality SR+MA dose-response (n=1,148,387)
  3. AJPM 2025 — Premature Mortality Attributable to UPF in 8 Countries
  4. Hall et al. 2019 Cell Metabolism — Ultra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake (RCT)
  5. Frontiers in Nutrition 2024 — RCTs on UPF consumption: systematic review
  6. Nature Reviews Gastroenterology 2024 — UPF additives and gut health
  7. Lancet eClinicalMedicine 2024 — UPF and cardiovascular events: dose-response meta-analysis
  8. The Lancet 2025 — Ultra-processed foods and human health: the main thesis

 

-Buddyリサーチニュース
-